国内向けには「問題なし」と説明していたが、火種は残っていた。

 2020年の東京五輪招致を巡り、フランス捜査当局が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長を贈賄容疑者とする正式捜査を開始した。

 東京五輪の招致活動で、JOCからコンサルタント会社を通じて多額の資金が当時の国際オリンピック委員会(IOC)の委員に提供された疑いである。

 焦点は、竹田氏が理事長を務めていた五輪招致委員会が13年にシンガポールのコンサル会社に支払った2億2000万円の扱いだ。

 コンサル会社の代表は、前国際陸連会長で当時の有力なIOC委員やその息子との関係が深いとされる。コンサル料の一部はこの息子に渡ったとみられている。

 フランス当局は、開催都市決定の投票権を持つIOC委員への買収工作に使われたという疑いを持っている。

 この問題はすでに16年に浮上し、フランス検察当局が捜査に乗り出していた。

 この時は、JOCが外部の弁護士らでつくるチームに調査を依頼した。その結果、コンサル会社との契約に違法性はなく、五輪関係者への金銭贈与を禁じたIOC倫理規定にも違反していない、という結論を出していた。

 だが実際には、調査チームはコンサル会社代表や問題のIOC委員親子には接触できなかった。核心に迫った調査とは、とても言い難い。

 IOCは疑惑にふたをしたつもりでも、フランス当局はその後の捜査で疑惑を裏付ける証拠や証言を得た可能性がある。

 竹田氏は15日に記者会見したが、「私自身は契約プロセスに一切関わっていない」と強調し、正当なロビー活動の一環だったと主張した。

 16年のJOC調査時と同じ説明に終始し、質問は受け付けなかった。説明責任を果たしたとは言いにくい。2億円超の支出に組織トップが関心を持たないのは不自然ではないか。

 五輪の招致活動では過去にも巨額の金銭の授受疑惑が浮上した。五輪が巨大ビジネスとなったためとはいえ、日本円で億単位の金がコンサル料名目で動くような実態は改善できないのだろうか。

 東京五輪の招致活動は「フェアでクリーン」を掲げ、寄付金と企業の協賛金、東京都の予算が投じられた。JOCにはさらに詳細な説明を求めたい。