新型コロナウイルス対策が求められる今夏は、熱中症への備えが例年以上に必要となりそうだ。

 感染予防で着用するマスクが体温の上昇を招くほか、本格的な暑さを迎えても外出控えが続いて体が慣れていない可能性がある。専門家は体調管理の重要性を指摘している。

 搬送される患者が相次げば、コロナ対策に追われる医療現場の負荷をさらに高めるおそれもある。

 ただ、熱中症は適切に対応すれば予防することができる。リスクを高める要因を十分に理解し、これからの厳しい暑さに備えたい。

 熱中症は、体の中で熱が過剰に作り出されたり、熱の放散がうまくできなかったりすると発症する。めまいや頭痛、手足のしびれ、吐き気などが起き、重症化すれば生命を脅かすことになる。

 特に注意が必要なのは、自覚がないまま脱水症状が進むことだ。マスクをしていると口の中が湿り、喉の渇きを感じにくくなるという。

 熱中症患者の減少を目指している医師らの団体「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、例年以上の水分補給を呼び掛けている。頭痛など初期の症状が出た際には、塩分も同時に摂取できる「経口補水液」が効果的としている。事前に準備に準備しておくことも重要だろう。

 外出自粛による運動不足もリスクを高めかねない。

 環境省の熱中症環境保健マニュアルは、体は徐々に暑さに慣れていくことで上手に汗をかいたり、無駄に塩分を出さなくなったりできるとする。室内での軽い運動や、人混みを避けての散歩など、今から汗をかく習慣を身につけておきたい。

 今夏は感染リスクを避けるため、家庭で過ごす人が増えることが予想されるが、屋内であっても油断はできない。

 総務省消防庁の集計では、昨年5~9月に熱中症で救急搬送された7万1千人のうち、住居から運ばれた人が38%を占め、道路(15%)や屋外(12%)を上回った。年を取ると皮膚が温度を感じにくくなるとされ、高齢者が室内で体調を崩した例が多く報告されている。

 冷房を適切に使用し、温度を下げることが大事だ。ただ、エアコンの多くは室内の空気を冷やして戻しているだけで外気と入れ替わっていない。

 飛沫(ひまつ)感染を抑えるため、定期的に窓を開けるなど換気にも努めたい。独居などの高齢者らの体調に周囲の人たちができるだけ目配りしてほしい。

 再開を模索している学校現場も熱中症対策は避けられない。京都や滋賀でも多くの自治体が、授業時間確保に向けて夏休みの短縮を検討している。

 公立校も多くの教室に冷房が設置されてはいるが、マスクを付けての授業が求められる。このほか、体育や休み時間の安全確保など、検討しなければならないことは多い。

 政府や自治体は対策を現場任せにせず、予防策の指針を早急にまとめて家庭や学校に示す必要がある。