輝く物へのあこがれ 降り積もる時間

《OPTICKS 008》2018 (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

 京都市京セラ美術館(左京区)の新館「東山キューブ」で、国際的な現代美術作家で文化功労者の杉本博司氏が、美術館での「寺院の再現」を試みた。京都、ガラスなどへの思いをちりばめ、現代的でありながら心がひっそり静まるような空間がつくり出されている。
 展示は小さなガラスの五輪塔が並ぶ細い道から始まる。塔内部には海の写真が収められ、太古の景色や幼時の記憶を思わせる。この道は寺院の「参道」だ。

《仏の海 001》1995  (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

 そこを抜けると、照明を落とした広い部屋の三方を無数の仏像の姿が埋める。三十三間堂内部の写真だ。実際に堂内で仏に囲まれているようにも、この世ならぬ地に来たようにも感じる。

《仏の海(中尊)》1995  (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

 そこが西方浄土とすれば、次の空間には一転して鮮やかな色彩があふれ出す。作品「OPTICKS」だ。ニュートンの思想に基づくその部屋は、赤や黄がきらめく科学の空間であり、光の浄土とも取れる。側面を飾る青と緑のガラスのオブジェ「瑠璃の箱」も美しい。

《OPTICKS 026》2018 (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi
《OPTICKS 100》2018 (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi
《OPTICKS 077》2018 (C)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

 最後の部屋には古代ガラスや勾玉(まがたま)などが並ぶ。人類が抱いてきた「輝く物へのあこがれ」が、降り積もる時間とともに表される。併せて、杉本氏が再建時の設計を手がけた香川県・直島の護王神社の模型が置かれる。
 簡素で抽象的だが、高い精神性に満ちた展示だ。館外では「硝子(ガラス)の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)」も見ることができる。

《法勝寺瓦》平安時代末―鎌倉時代初期  Photo:Yuji Ono
杉本博司氏(C)Sugimoto Studio

【会期】5月26日(火)~10月4日(日) 月曜休館(祝日の場合は開館)
【開館時間】午前10時~午後6時
【会場】京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」(左京区岡崎円勝寺町)
【主催】京都市京セラ美術館開館記念展「杉本博司展」実行委員会(京都市、京都新聞、毎日新聞社、MBS)
【観覧料】一般1500円、大学・高校生1100円、中学生以下無料。障害者手帳持参の人と同伴者1人は無料。京都市内に在住か通学の高校生は無料(確認できるものが必要)

入館は事前予約制で京都府在住者に限定
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当面、入館は事前予約制とし、京都府在住者に限る。予約方法など詳細は美術館のホームページで。
問い合わせは075(771)4334。
ショップやギャラリー、カフェに入る場合も展覧会の入場予約が必要。