コロナ退散の祈りを込めて作成した「鍾馗」を手にする吉田悠太さん(南丹市園部町・同市役所)

コロナ退散の祈りを込めて作成した「鍾馗」を手にする吉田悠太さん(南丹市園部町・同市役所)

 若手の版画作家として知られる京都府南丹市園部町の園部中3年、吉田悠太さん(14)が、魔よけの神とされる鍾馗(しょうき)の版画を作った。新型コロナウイルス退散の祈りを一刀一刀に込めた。

 小学5年生の時に、富士山と波濤(はとう)を対比させた葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」を見て、「自分で木版画にしたい」と考え、彫刻刀を握るようになった。独学で彫り始め、2019年春からは京都市の木版画工房「竹笹堂」で腕を磨く。異才を長期的にサポートする東京大などのプロジェクトに参加し、同年には都内で個展を開くなど、注目の存在になりつつある。
 浮世絵師の歌川国芳が描いた鍾馗が元々好きだったのに加え、コロナ禍の中、「自分に何ができるか」と考えて制作を思い立った。4月下旬から、数種類の彫刻刀を駆使して、粘り気のあるホオノキの板を削っていった。鍾馗が左手でつかんでいる鬼の表現などに心を砕き、2週間かけて、縦30センチ、横20センチの作品を仕上げた。
 和紙に刷り上げた作品を寄贈するため、25日に南丹市役所を訪問。西村良平市長は「迫力と臨場感がある。コロナの災いを取り除こうと頑張ってくれた。すごい」と感嘆した。吉田さんは「版画を見た人にとって、励ましになればうれしい」とほほ笑んだ。鍾馗は市長室に飾られる。