「見せましょう、野球の底力を」。9年前の4月、東日本大震災の復興に向けた慈善試合で、楽天の選手会長だった嶋基宏捕手(現・ヤクルト)がスピーチした▼2011年、大震災はプロ野球にも大きな影響をもたらした。特に楽天は本拠地が被災し、オープン戦で遠征中だった選手はほぼ1カ月間、地元に帰れずにいた▼公式戦は18日遅れの開幕と決まったが、被災者は困難な生活を強いられていた。今、野球をやるべきか、選手に迷いもあったことだろう。嶋捕手の言葉には、そんな時こそ野球で元気づけたいとの決意が込められていた▼コロナ禍の今年、選手たちはどんな底力を見せてくれるだろう。新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が全国で解除され、公式戦開幕日が6月19日に決まった。当初から3カ月遅れの開幕となる▼当面は無観客で、感染が広がれば中断の可能性もある。長引いた練習自粛の影響もあり、選手には震災年より酷なシーズンとなるかもしれない。でも、こんな時こそ、と奮い立つ選手は多いはず。けがや感染に注意し、全力プレーで魅了してほしい▼嶋捕手は当時のスピーチで、ファンも底力を見せようと呼び掛けた。画面越しのエールで沈みがちな気分を盛り上げ、国民みんなで見せましょう、コロナに負けない底力を。