「法隆寺は焼けて結構」。戦後、国宝の金堂の焼損に対して故岡本太郎さんは著書でこう断じた。「自分が法隆寺になればよい」。変人と評された芸術家の気概が伝わる▼米作家はこう言った。「新しいものを考えついた人もそれが成功するまでは変人にすぎない」(マーク・トウェイン)。「天才とは蝶(ちょう)を追っていて、いつのまにか山頂に登っている少年」(スタインベック)。変人と天才が表裏なのは東西共通らしい▼変人に寛容なまち。京都もそう語られてきた。常識を超越した斬新な発想が尊重される。だが世の中が窮屈になり、その気風に陰りはないか▼変人がいるから革新が起こる。変人を許容しない社会は危うい-の趣旨で一昨年始まった京大変人講座。タレント越前屋俵太さんを聞き手に「地味な変人」を体現する京大の研究者らが講師を務め、その講義録が出版された▼6年後の大阪万博を盛り上げる妙案を官僚に聞かれた山極寿一総長は同書を渡し「世界変人講座」開催を提言したそうだ。ITを使えば多言語で発信も可能。変人の価値を関西から世界へ訴えよう-と▼万博といえば岡本さんの太陽の塔。依頼に反して会場屋根を貫く「ベラボーなもの」を作り人々を魅了した。調和を乱すことを恐れない、世界の変人たちの議論を聞きたい。