「ゴールデンウイーク」がもともと映画の宣伝用語だったという説は割と知られている。平成から令和へ、史上最大の黄金週間に時代を象徴する作品が大ヒットしたのも何かの巡り合わせかもしれない▼言わずと知れた「名探偵コナン」である。シリーズ23作目はこれまで最高だった前作をさらに上回る勢い。もっとも出来栄えはファンに賛否あるようだ▼評論家のさやわかさんが近著で平成時代とコナンとの面白い関わりを書いている。謎の集団に薬を飲まされ、体が縮んでしまった主人公。だが「見た目は子ども、頭脳は大人」と抜群の推理力で事件を解決する▼そんな成長したくてもできないコナンの姿が、失われた20年とも30年とも言われる平成社会の停滞と重なるのだという。描かれる犯人像や動機にも「世相が確実に反映されている」▼明智小五郎でおなじみの江戸川乱歩の諸作品には、近代都市化する1920年代の東京があった(松山巌著「乱歩と東京」)。真実は一つ、名探偵は時代から離れられないということか▼平成は邦画の人気が復活した時代ともいわれる。そういえば、コナンとは逆に「見た目は大人、頭脳は子ども」のような人がはびこったのもこの時代か。だから人気に?…自戒を込めて推理してみる。新時代も活躍は続きそうだ。