町なかで心落ち着く家並みや懐かしさにかられるたたずまいに出合うことがある。文化財というわけではないが町の財産として残してほしい。そんな市民の期待を支える制度が京都市にある▼「京都を彩る建物や庭園」制度だ。「残したい建物や庭園」を公募し、リスト化している。もちろん、無条件というわけではない▼50年以上経過している建物や地域の文化、生活を理解する上で価値があるなど、一定の基準を設け「選定」する。さらに価値が高いと認められたものは「認定」し、文化財登録も視野に入る。当然、所有者の同意が不可欠だ▼2011年に創設され、今年3月末までに600件余りを審査し、420件を選定、このうち131件が認定された。リストには社寺や邸宅だけでなく、商店や町家の2軒長屋、倉庫などもあがる▼選定や認定を機に、公開に踏み切ったり、イベントを催したりする所有者もいる。所有者同士の交流会で情報交換し、連帯意識も芽生えてきた▼相続問題や維持管理の厳しさから解体される町家などのニュースが相次ぐ。選定や認定物件でも、すでに失われてしまったものもある。「残してほしい」の思いだけでは、保全することは難しい。それでも、まずは地域で守る機運を醸成することが、次代につなぐ一歩になる。