日本最大級の棚田といわれる三重県熊野市の丸山千枚田を訪ねた。1300枚超の水田が、標高差約200メートルの急斜面に連なる姿は、見下ろしても、見上げても、荘厳だ▼棚田の保存に一役買っているのがドローン(小型無人機)である。カメラを搭載すれば、稲の育ち具合や水路の点検などを1カ所で行える▼ドローンで「鳥の目」は急速に身近になった。街中にいると気づかないが、すでにドローンは多方面で活躍している。予想を超える新しい使い方が生まれてくることを期待したい▼その一方で、ドローン飛行を大幅に制限する法案が国会で審議されている。東京五輪やパラ五輪などの期間中、会場上空を飛行禁止にする。同時に、自衛隊や米軍などの防衛施設とその300メートル周辺も飛べなくする▼疑問なのは、対象施設の定義があいまいで、防衛相が指定する、という点だ。情報公開に後ろ向きな問題が度々指摘されている防衛省だけに、恣意(しい)的な運用が心配になる。演習場の山林や事故現場まで指定されかねない▼昨年12月15日、本紙の朝刊1面にドローンで撮影した写真が載った。沖縄県名護市辺野古の海に投入された土砂が青い海に広がる光景だ。心ざわついた人も多かろう。ドローン規制で国が隠したいものは何かを、物語っているように思う。