物語は「宇宙世紀0079年」に始まる。宇宙に建設された巨大な「スペースコロニー(入植地)」でロボットに似た兵器「モビルスーツ」が死闘を繰り広げる▼1979年の放映開始から40年になるテレビアニメシリーズ「機動戦士ガンダム」である。登場キャラクターのプラモデル「ガンプラ」に夢中になった子どもの頃を懐かしむ中年男性も多いのではないか▼ガンダムをはじめ数多くのドラマや映画が宇宙を戦闘の舞台として描いてきた。一方で実際の宇宙船乗組員の中にはこれに違和感を抱く人も多いようだ▼68年に米国のアポロ7号で地球を周回した故ウォーリー・シラーさんは夜間に上空からベトナムの戦火を目にした体験を立花隆著「宇宙からの帰還」で語っている。眺め下ろす地上で争いが絶えないのを<なんとも悲しい>と言い表し、戦争目的の宇宙利用を<バカげている>と断じた▼かつて米国ではレーガン大統領時代に「スターウォーズ」という名の物騒な計画が持ち上がった。トランプ大統領も「宇宙軍」の創設を進めている▼国連宇宙条約は大量破壊兵器配備禁止など宇宙の平和利用を定める。将来、宇宙旅行が普及すれば、この星で現実に相争うことの愚かさに皆が気付くだろう。宇宙戦争も虚構の世界で事足りると分かるはずだ。