西洋の合理的な発想を日本の気候風土や生活にどう調和させるか。そんな課題を追求し続けた画家と建築家が大正期に京都帝国大工学部の講師として出会い、終生の交遊を深めた▼欧州留学で印象派直系のきらめく光に満ちた点描の技法を体得した太田喜二郎は帰国後、京都の農村風景を描くなかで力強く塗る筆致へと変化させていく。湿り気のある空気やどっしりと大地に根ざした農の営みを、光と影との強い対比のなかに表現した▼来月1日まで星野画廊(京都市東山区)で展示されている太田作品から、独自の画風を切り開いていく過程が伝わる▼自然豊かな天王山のふもとに先駆的モダニズム住宅「聴竹居(ちょうちっきょ)」(大山崎町)を設計した藤井厚二は、海外視察の知見や工学的な実験を重ねながら、青葉や紅葉を映して変化する光を屋内にどう生かすか模索した。和紙の障子を通して柔らかに拡散させることが最適だとの考えに行き着く▼太田が自邸の設計を藤井に託したのは、信頼のあかしだろう。「日本の光を追い求めた」というテーマで2人の足跡と交流をたどる展示会が京都文化博物館(中京区)で来月23日まで開かれている▼緑まぶしい5月からしっとりとした梅雨へと移りゆく。変化に富む気候のなかで暮らしていることに私たちも敏感でありたい。