きのうの朝、それぞれの地域で小さな傘の列を見かけた人も多かったのではないか。雨に煙る京都の街をながめながら、宇多田ヒカルさんの「FINAL DISTANCE」を久しぶりに聴いた▼2001年の池田小児童殺傷事件への追悼の意を込めた曲だという。犠牲となった女児の1人がファンだったことを知り、もとの曲にアレンジを加えた▼大切な人との理不尽過ぎる別れ。会いたいのにdistance(距離)はどうしても埋められない。だが、いつかその距離ごと「抱きしめられるようになれるよ」―。鎮魂と再生を思わせる歌だ▼令和時代になって1カ月、何の罪もない子どもの受難が相次ぐのはなぜなのか。両手に包丁を持った男がスクールバスを待つ女児たちを襲った。池田小事件を思い起こさせる川崎市の惨劇である▼大津市で保育園児らが巻き込まれる事故があったばかりだ。きのう市は散歩ルートの安全点検を始めた。二度と犠牲を出さないように…。そんな思いを踏みにじるような事件がやり切れない▼ありふれた登下校や散歩の風景が、いかにかけがえのないものかと思う。「なぜ」と死亡した男から聞くことはできないが、子どもの安全のために何ができるか、もう一度考えたい。今度こそfinal(最後の)にするために。