かつて銀幕には印象的な喫煙場面が多かった。団塊の世代なら仏映画「さらば友よ」か。アラン・ドロンが警察に連行されるチャールズ・ブロンソンのたばこに火を付ける幕切れを思い出すに違いない▼今や映画もドラマもノースモーキングの時代といえる。宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」に描かれた喫煙が未成年者に悪影響を与えるとして批判されるなど、煙たがられる存在だ▼たばこの煙はさまざまな有害物質を多く含む。吸う本人は恐らく納得ずくだろうが、他人が吸うたばこの副流煙にいや応なくさらされる受動喫煙は、煙たいでは済まない▼来夏の東京五輪・パラリンピックに向け、7月から改正健康増進法の一部施行で学校や病院などは屋内禁煙となる。全面施行は来年4月だが、不十分ながら受動喫煙対策が強化される▼厚生労働省などの資料によると、たばこが原因で年間100万人以上が肺がんや脳卒中、認知症などを発症。受動喫煙だけで推定約1万5千人が犠牲になっているという▼きょう31日は喫煙と健康を考える「世界禁煙デー」。たばこの害による社会的、経済的な総損失額は年間2兆円を超すとの推計もある。受動喫煙対策にとどめず、大きな損失をもたらす喫煙そのものをやめる「卒煙」を促す取り組みこそが欠かせない。