派遣社員の女性が妊娠を職場の上司に告げると、上司は祝意を口にするどころか、派遣会社に電話して言い放った。「不良品をよこすなよ」▼ジャーナリストの小林美希さんが著書「ルポ職場流産」で紹介している。女性は契約更新で月100時間の残業を条件として示され、職場を去った。典型的なマタニティーハラスメント(マタハラ)である▼マタハラやセクハラ、パワハラを禁止する法律が成立した。職場や取引関係で地位や立場を利用した嫌がらせを「行ってはならない」と明記した▼同法が成立したその日、自民党の国会議員から「最低3人くらい産むようお願いしたい」という発言が飛び出した。桜田義孝氏。震災復興より議員が大切、と言って更迭された前五輪相だ▼「産んで」なら問題にならないとでも思ったのか。だが、子どもを産む、産まないの判断は女性一人一人の権利である。桜田氏の発言は、職場ではセクハラ、マタハラと指摘されるのは確実だろう▼小林さんは、マタハラやパワハラが横行した結果、仕事を持つ多くの女性が妊娠を控えてしまった、と指摘する。桜田氏は少子化を憂いての発言と弁明し、擁護する同僚の男性議員もいる。おじさんたちの勘違いが少子化を招いてしまったのではないか。その自覚がないのが残念だ。