湖国の道を車で走ると、収穫期を迎えた麦が茶色に染まり、植え付けを終えた水田の緑との対比が美しい。麦秋の季節である▼1週間ほど前、散歩中に麦畑近くでヒバリの巣を見つけた。おわんのようなわらの寝床に、小さな卵が三つ。なぜか樹上ではなく地面に巣を作り、外敵から卵を守れるように麦畑や草地の中を選ぶのだという▼ヘリコプターのホバリングのように空中で長くとまったままさえずるのは縄張りであることを主張し、パートナーを迎えるためだそうだ。麦刈りの頃にはひなが巣立つ。きちんと時期を見計らって営巣をする利口さに感心する▼国内の麦栽培は、パンやめん類になる小麦が中心。ビールや麦茶、麦ごはんに使われる大麦、みそなどに加工されるはだか麦も作られている。消費量は年間約850万トン。残念ながら大半は輸入だが、消費量自体はコメと肩を並べる。コメ消費が減ってきたことが大きい▼麦わらをストローに利用し、海洋を汚染するプラスチックごみの削減に役立てる試みが京都のNPO法人の手で進められているとの記事が、きのうの本紙夕刊にあった。麦わら帽子などに限らず、食以外の活用も広がってほしい▼<子雲雀(ひばり)のそだつ日頃や麦の風>正岡子規。梅雨入りが近づき、まもなく各地で麦刈りが本格化する。