「市町村は生活の現場だ」としてコロナ禍の自治体対応について語る吉本伊根町長

「市町村は生活の現場だ」としてコロナ禍の自治体対応について語る吉本伊根町長

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大半の公立小中学校が国や都道府県の要請を受け休校などの措置をとる中、独自の判断で見送りや期間短縮を決めてきた京都府伊根町の吉本秀樹町長(64)に話を聞いた。地方自治の観点から、学校教育をはじめ住民の暮らしに深く関わる対応については、各自治体が柔軟に判断する余地があってもよいと問題提起した。

 ―2月の国の休校要請に対し、措置をとらなかった理由は。
 「伊根町の小中学校は小規模で、十分な対策を行えば感染リスクは低い。休校にすると学童クラブが学校よりも過密になってしまい本末転倒だ。スクールバスや給食も無くなり保護者の負担が増えるだけでなく、職員の負担も大きい。専門家と協議し、学校を開ける方が合理的と判断した」
 ―緊急事態宣言による休校後、府内で最も早く学校を再開した。
 「町内では4月上旬から観光・宿泊施設、飲食店は全て休業していただき、町営駐車場も閉めた。感染者ゼロの町が経済封鎖していて、学校までなぜ閉める必要があるのか。本当は臨時休校もしたくなかった。緊急事態宣言を受け、足並みをそろえるかたちで休校措置をとったが、早く学校を再開してあげたいという気持ちがあった」
 ―国の要請に従うべきとの意見もあったとは思うが。
 「都会では休校が感染対策になるのだろうが、伊根のような過疎地域では同じ方法とはならない。総合的に見ていく必要がある」
 「誰がウイルスを持っているのか分からない中で、どうすればいいのか見当がつかないこともある。国もこの状況をコントロールしたいと考えたのだろう」
 ―都市部と地方では事情が異なるということか。
 「『大阪モデル』のような都市部での休業要請の解除条件は、伊根ではとうに達成していた。京都府の学校の中で、こっちは閉め、こっちは開けるということは難しいから、一律になるんだろうが、それぞれの地域にも事情がある。アレンジする余地があってもいいのではないか」
 ―これまでの対応を踏まえて、国と自治体の関係はどうあるべきだと思うか。
 「国の方針と現場の自治体の事情が食い違うことは当然ある。ボトムアップで意見を国に伝えていってほしいが、そのための町村会や市長会が機能していない印象がある。国や都道府県の一括した方針があっても、財政力やマンパワーには自治体ごとに差があるのだから、それぞれにある程度裁量を持たせるようにされるべきだと思う」