行楽帰りのいとはんは、付き添いの女性とあぜを通って近道をしようとしていた。そこに嫌いなヘビが現れ、アッと声を上げると、おなかを押さえて倒れ込んだ▼持病の癪(しゃく)が出たようだ。いとはんは、やかんをペロペロとなめたら治るというが、持ち合わせていない。さて、どうするか。上方落語「癪の合薬(あいぐすり)」、江戸では「やかんなめ」である▼癪が起きるのを、気にする人は今もいる。立憲民主党の枝野幸男代表が、その一人かもしれない。先日は京都市内で、内閣不信任決議案を「解散がなさそうだから、出すと思われるのは癪だ」と語った▼政権中枢の菅義偉官房長官は、不信任案の提出が衆院解散の「大義となる」という。国民民主党の小沢一郎氏は、調整不足のまま衆参同日選となれば「絶対といっていいほど勝てない」とする▼これでは、解散がないのを確かめてからでないと、枝野氏は怖くて不信任案を出せない。けれども、解散は頭にないと安倍晋三首相が明言したこともあり、再考を求める仲間もいる。いずれにしても癪に障ることである▼いとはんは、通り掛かったお侍に頼んで、やかん頭をなめさせてもらった。すると痛みが消え去った。癪を治めるには、もっと頭を使えということだろう。さて枝野氏は、国会の会期末までにどうするか。