「食べ歩き」という言葉が「歩き食べ」、つまり路上飲食の意味で使われだしたのはいつだろう。本紙記事データベースを検索すると、2015年ごろから「食べ歩きの禁止」を観光客に呼び掛ける話が出てくる▼以前はよく「食べ歩きを楽しむ」と言った。今は楽しむどころか、迷惑行為の扱いだ。「土地の名物やうまい物を食べてまわる」(広辞苑)という本来の意味が辞書の中で縮こまって見える▼ポイ捨てなどをする外国人客が増えたせいで日本語まで変わってしまった、と嘆く向きがあるかもしれない。それはともかく、観光客の過度な集中に悩む隣の自治体を見て、滋賀県が動いた。京都の玄関口に乗り出し「お泊まりは滋賀へ」と客引きを始めたのだ▼業者に委託して今月から京都タワー内の案内所を訪れる外国人旅行者に呼び掛けている。JR京都駅から大津駅まで電車で9分の近さを売り込み、混雑緩和と観光消費の分散を―というわけだ▼大津駅から琵琶湖岸までは徒歩15分。日本一の湖を眺めながらの歩き食べは格別である。何より広々として、押し合いへし合い他人の衣服を食べ物で汚したりする心配が少ない▼店の数が少ないとの評も聞くが、そこはそれ、街を巡ってみれば、意外な味の発見があるもの。本来の意味の食べ歩きである。