日本の西の端が先へ延びたそうだ。国土地理院が沖縄県・与那国島の西側にある岩を基本地図「2万5千分の1地形図」に新たに記した結果、最西端が260メートル北北西へ移った▼「トゥイシ」の名で知られた岩だが、小型無人機(ドローン)を使った調査で大潮の満潮時も海面上にあるのを確認したという。1903年、ライト兄弟が有人動力飛行に成功した距離も260メートルで、技術の進歩に感じ入る▼最新の測位衛星は誤差数センチというが、逆に三角測量の技術もない江戸後期、初の実測日本地図を作った伊能忠敬を思った。簡素な縄や鎖、方位盤を用い、17年かけ海岸線を歩いて写し取った▼驚くべき正確さは、各所から測った山や星の位置を突き合わせ、入念に誤差を抑えたためという。足跡を追った佐藤晃之輔さん著「伊能忠敬の秋田路」を読むと、秋田県では計39日間を要し、晴れると必ず星を観測していた▼その地をいま揺るがしているのが、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る調査ミスだ。防衛省はグーグルアースの机上の値を誤使用して「適地」を選んだ。その安直さは米国兵器の購入ありきと疑いたくなる▼私財で始め、国防上重要として幕府の支援も得た伊能は、測量隊員に禁酒を命じ、寝る間を惜しみ打ち込んだというが。