戦前の貴族院に代わる参議院はさまざまな職業代表で構成したら、という意見があったそうだ。憲法制定時の担当大臣で国会答弁を担った故金森徳次郎が書き残している▼<衆議院は何とかつべこべいって通して来たけれども、貴族院は容易に通さないぞ>という気概があったらしい。貴族院に類似したものができないかといろんな案が出たという▼結局、衆院より議員数を少なくして、任期を長くしただけに終わった。それでも金森は<うまく行けば>と断った上で、参院は衆院の考えを調節したり、わがままを抑制したりできると期待した▼さて、きょう参院選の公示である。どうしても政党別の勝敗予想に目がいくが、それでは衆院選と変わり映えしない。さまざまな公約に加えて、衆院のわがままを抑制する力のあるなしを候補者に見たいものだ▼参院の存在意義が数ではなく、現実に根差した見識と言論の府であるなら、さまざまな立場や経験を持つ議員が多い方がいい。性的マイノリティーや非正規社員らが議員になって、国会で直接声を上げたらと想像してみる▼職業代表ではないが、現代の多様な社会を反映する構成であってほしい。現実は女性候補が少なく残念だ。せめて、衆院の横暴は容易に通さないぞ、という気概を選挙で聞きたいのだが。