「卒業したらジャニーズに行く」。そう宣言する同級生が中学のときにいた。もう40年近く前だ。彼がその後どうなったか、残念ながら詳しくは知らない▼当時、田原俊彦さんら「たのきんトリオ」が大人気となり、かの芸能事務所の名前は知れわたった。全国に同じような男子がいたのではないか。ジャニー喜多川さんが亡くなった▼「ジャニーズはつねに偏見の目にさらされてきた」―。ライター矢野利裕さんが著書「ジャニーズと日本」に書いている。「女・子ども」のお楽しみと軽んじられたが、彼らにはそんなものを吹き飛ばす強さがあったと▼男性が歌って踊ること自体が異端だった。「男(大人)は黙ってビール」という時代である。それでも半世紀にわたって人気者を輩出し続けた。いつの間にか、社会の何かが変わった▼米国生まれのジャニーさんは、米国流のエンターテインメントを目指したという。そこには自由と平等の空気、民主主義精神があったと矢野さんは指摘する。美談だけではない。3年前のSMAP解散騒動など抑圧もあらわになった▼「卒業したら美容師になる」。田原さんらが中学生役を務めたドラマの同級生にそんな女子がいた。演じた俳優は今は国会議員だ。いつの間にか変わったものはたくさんあるような気がする。