1150年の歴史を背負う祇園祭、外国人留学生にはどう映るだろう。山鉾の一つ、白楽天山を紹介する多言語パンフレットの作成に、同志社大日本語・日本文化教育センターで学ぶ学生らが昨年から取り組んでいる▼英中韓はもちろん、ポーランド語やジョージア語など、日本語も含め13言語で、祭りの歴史や白楽天山の由来などを紹介した。ポルトガル語を担った元留学生は、日本で暮らすブラジル人に読んでほしいとの思いを託した▼インドのパンジャビー語を母国語とする留学生は、ご神体人形が手にする「払子(ほっす)」を訳す際、似たものが自国の寺院で使われている共通点を心に刻んだ。皆、自国の言葉や文化にない名前や表現をいかに分かりやすく伝えるか、苦心したという▼今年はさらに三つの言語が加わる。スロバキアの留学生は、スロベニアや旧チェコスロバキアと誤解されがちなことに、自国の言葉を伝える機会とした▼フィリピン系米国人は、タガログ語にした。「自身のルーツを大切にしたかったのかも。祇園祭を通し、自国や自身の文化に出会えた」。指導する木谷真紀子准教授は推測する▼言葉はアイデンティティーだ。多言語の紹介が、全て必要とされるかは分からない。しかし広い世界の、祭りを見つめる目が熱を帯びて感じられる。