「笑いは相手がいて、初めて生まれるんだよ。相手を信用しないと笑えないよ」―「欽ちゃん」の愛称で親しまれる名コメディアン萩本欽一さんらしい言葉だ▼「お笑い」を商ってきた吉本興業の社長さんは、そのつぼをご存じないようだ。「冗談というか、和ませようと思った」。テレビの前で「冗談やないわ」と突っ込んだ人も多いに違いない▼お笑い芸人たちの「闇営業」問題に関連して開かれた謝罪会見の応答にあきれざるを得なかった。「全員首にする」「おまえらテープ回してないやろな」。社長は契約解消を言い渡した芸人からパワハラまがいの暴言を「告発」された。発言を認めつつ、圧力をかける意図は否定したが、笑止千万だ▼芸人たちが振り込め詐欺グループのパーティーに出席し、金銭を受け取ったのは許されまい。これまでも反社会勢力との付き合いが発覚し、引退に追い込まれた芸人もいる。脇が甘過ぎた▼もちろん反省すべき点は多い。それにもまして今や6千人ものタレントを擁する企業の古い体質が浮かび上がったとも言える。「闇営業と同じくらいの吉本の闇を感じる」との芸人たちの嘆き節が何とも悲しい▼「笑いは人の薬」ともいわれ、抱腹絶倒の大笑いは薬に値する。だが、笑えない「お笑い」なんて誰も見たくない。