脊髄(せきずい)損傷の事故で下半身不随となった八代英太さんが、参院議員として初登院したのは1977年。その際に車椅子対応で事務局があわててスロープをつくり、車椅子用トイレに改装したことなどを回想し、自著にこう記す▼「いまの政治は、きっかけを作らないことにはすべてが始まらない(中略)私たちの『車椅子を国会へ』もその点では、確かに大きなきっかけづくりであった」▼それから42年。難病や重い障害がある男女2人が参院選にれいわ新選組から立候補し、初当選した。男性は全身の筋肉が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者。議席にある投票ボタンを押すことだけでなく、発語も困難だ▼その人たちが支障なく議員活動を続けられるようにするには、国会施設の改善や介助者の同伴、質問時間への配慮などさまざまなバリアフリー化が必要になる。まずは本人たちの要望に十分に耳を傾けたい▼障害者へ配慮する政策は近年進みつつあるが、当事者でないと気づかない視点はやはりある。重度障害者が政策決定の場に加わることは、多様な声を吸収する場である国会の活性化にもつながろう▼国会だけでなく、地方議会にも当たり前のように障害者が入っていく。2人の挑戦が、そんな世へのきっかけになればと思う。