星が美しい季節になった。都会の喧噪(けんそう)を離れれば、天空を南北に縦断する天の川が見られる。夏の天の川が美しいのは、星が密集する銀河の中心方向を見ているからだ▼私たちの体を形作る炭素などの元素は、星の中の核融合で生まれ、星の爆発とともに宇宙にばらまかれた。人はまさに星から生まれた▼「神は存在しない」。昨年死去した英国の理論物理学者ホーキング博士が著書で語っている。神の力を想定せず宇宙の成り立ちを解明するのが科学であり当然の姿勢と言える▼だが科学ですべてを説明できるだろうか。謎の一つが「自分」という私たちの意識だ。脳の各部位の働きは解明されつつあるが、脳内の分子や電気を追っていても「自分」は見えてこない▼無生物のAI(人工知能)が将来的に自発的な意識を持つ可能性が大真面目に語られるが、太古の日本人は樹木や石、太陽に神々を見た。その背景に人々の生を成り立たせる自然への畏敬があった▼「天知る地知る我知る子(し)知る」という中国のことわざがある。悪事はいずれ露見するという意味で、人々は天の目線を感じ行動を律した。20世紀以降、人類が戦争や環境破壊に明け暮れたのは、外からの目線を感じられなくなったからではないか。宇宙から人類はどう見えるだろう。星に尋ねたい。