崖っぷちに小さな赤いお堂が建つ映像に、感銘を受けた方も多かろう。比叡山延暦寺から法灯をもらい、「閑(しずか)さや…」と芭蕉が詠んだ天台宗の立石(りっしゃく)寺(山形市)、通称「山寺」である▼最寄りのJR駅を降りると、全山に堂宇のある様子がうかがえる。ここほど、通称にふさわしいところはない。駅名が「山寺」となるのは必然といえる▼シンプルで分かりやすく、利用者に支持されるのが駅名の理想である。阪急電鉄は10月、「梅田」を「大阪梅田」、「河原町」を「京都河原町」に改称するという。どう受け止めればよいのだろう▼消費増税に伴い運賃を改定する。駅の掲示を改装するので、これに合わせる思惑はあるが、駅名変更の主因とはしにくい。増え続ける訪日外国人らに、どの都市の中心にある駅なのか、はっきりさせたいと説明する▼現在の駅名に長年親しんできた近隣の利用者のことを、どれほど考慮したのか。名称の頭に「京都」を付ければ、多くの人に受け入れられるという傾向だけを重視していないか。気にはなる。国際的な視点を取り入れたことは、評価できる▼「山寺」クラスの必然性を示してほしかった。個人的な希望は、「河原町」を「先斗町」にすることだ。歌謡曲で富士山と並んで登場するほど知られ、京情緒が豊かである。