セミ捕りする子どもをとんと見なくなった。もはや「絶滅危惧種」になったのか。そんな「ケータイまみれで時に自分を偽って生きねばならない子どもたちに、本能のままにまっすぐに生きる昆虫の姿を見せたい」と俳優の香川照之さんが立ち上がった▼カマキリの衣装でバッタやタガメの魅力を分かりやすく教えるNHKテレビ「昆虫すごいぜ!」が面白い。興味の赴くままに虫を追いかける香川さんに、子どもたちの虫好きスイッチがぽんぽんと押されている▼小学2年の末っ子と鴨川を散歩すると、トンボを探しながら「オニヤンマは時速60キロで飛ぶ」とカマキリ先生の口調で教えてくれる。怖がっていたはずが素手でバッタやチョウを追っている▼子どもを虫嫌いにしているのは、台所への「黒い侵入者」に悲鳴を上げる大人の姿かもしれない。動物行動学者の日高敏隆さんは「なぜゴキブリをこんなに嫌うのか」と不思議がっていた▼「刷り込み」を覆す刺激があれば、子どもの興味は目覚めるということか。虫や魚や草花などを目にしたり触れたりできる夏は、いま真っ盛り▼サル学のパイオニア河合雅雄さんは、丹波篠山の自然の中で昆虫採集や魚捕りに明け暮れていた。入道雲・丹波太郎の下での日々を宝物のように「少年動物誌」に記している。