またしても…である。メキシコ国境に近い米テキサス州の町で男が銃を乱射、20人が犠牲になった。地元警察は中南米系の人々に対する憎悪犯罪の可能性が高いとみている▼トランプ政権発足後、米国ではユダヤ人や黒人、性的少数者らを標的にした犯罪が頻発している。人種差別を助長するようなトランプ氏の発言が影響しているとの見方が根強い▼非白人女性議員らに「国を出て行け」と言い放ち、下院で非難決議されたのは先月のこと。その舌の根も乾かぬうちに、黒人の下院委員長の選挙区を「ネズミがはびこり、吐き気がする」とののしり、黒人運動の有力指導者を「白人と警官が嫌い」と批判した▼公の場やツイッターでの攻撃は、非難を承知での確信犯に他ならない。大統領再選に向け、非白人の存在に不満を持つ自らの支持層を引きつけようとしているのだろう▼オバマ前大統領がかつて「イスラム教徒だ」と攻撃された時、共和党政権で国務長官を務めた黒人のコリン・パウエル氏はこう述べ、中傷を戒めた▼「仮にそうだとして、この国でイスラム教徒であることは間違いなのか。違う。それが間違いならアメリカではない」。多様性と寛容さを重んじる理性的な言葉も、トランプ氏には響くまい。国民を敵と味方に分断する指導者は罪深い。