何かとメールで済ます昨今、この言葉は胸に響く。<全身全力を込めて正直に愛の手紙を書きなさい。すると、あなたの体内は大掃除をしたように清潔になり…>▼反戦ジャーナリストの故むのたけじさんがラブレターの心得を自著「99歳一日一言」に記す。故人へ思いをつづることにも通じるだろう。舞鶴市北吸の大聖寺に、亡き人へ手紙を投かんする「緑のポスト」がある▼元々、役目を終え、檀家(だんか)から贈られた丸型ポストを、さい銭箱に活用してきた。ある日、一通の手紙が入っていた。「空の上で遊んでいますか」。わが子を亡くした母親のようだった▼松尾眞弘住職(59)が昨年、ポストの趣旨をインスタグラムに投稿すると、たちまち反響があった。文字にすれば心が整理できたり、解決の糸口が浮かんだりする。「いろんな人の気持ちをつなげたい」▼手紙は今年6月から受け付け100通近くにのぼる。開封はせず本堂の本尊前に供えている。父へ、母へ、おじいちゃんへ、おばあちゃんへ…。思いが届くよう、彼岸の頃にたきあげる▼関東から訪れた若い女性は2時間ほど集中してペンを執ったという。「人生で一番長い手紙を書きました。気持ちが晴れました」。お盆が近い。大切な人へ一字一字。心の大掃除は自分を見つめ直す時間になる。