車いすに乗ったラガーマンが共生社会をテーマに熱弁した。2年前の公式戦で頸椎(けいつい)損傷の大けがをした京都産業大ラグビー部の中川将弥さん(23)。7月、大学の講義「スポーツと人間形成」のゲストスピーカーとして登壇した▼来春に定年を迎える同部監督・大西健教授の担当講義で、最後の講師に教え子を指名。懸命にリハビリする姿を見て「彼の体験を、これからの時代を生きる学生に聞かせたい」と考えた▼中川さんは「当たり前のことができない」苦労を語りつつ、「少し体を動かせただけで大きな喜びがある」。そして「人の温かさ、つながりの大切さ。けがをして分かったこともある」と語った▼意見交換では、柔軟に反応する若者らしい感想が続いた。身近に障害者がいるという学生は「帰省したら、きょうの話を聞かせたい」。別の学生は「どう手助けすれば、と迷っていた。知ることが大切なんだと思った」▼笑顔を絶やさず語る中川さんからは、壮絶な体験ながら決して失ったものばかりではないとの思いが伝わってくる。目線が変わり、学んだことも多いと。互いを理解しようと心を寄せることは共生社会の出発点だ▼「選手として復帰する」との目標は揺るがない。夢をあきらめずに追う大切さ。ひたむきな彼の生き方が教えてくれる。