風が強まり、大型台風10号が迫っている。きょうは「終戦の日」だが、まずは気象情報に注意し、命を守るための備えをしておこう▼今では想像できないが、真珠湾攻撃の開戦と同時に天気予報がなくなった。軍による気象管制だ。気象情報は、戦闘機を飛ばす判断など軍事面で重要であり、敵国には知られたくない。これが戦時体制、庶民の生活などお構いなしだ▼予報だけでなく、気温や気圧、降水量など日時や場所を特定した観測データも発表を禁止。戦時中の周防灘台風で山口県を中心に死者・行方不明が千人以上出たのは、情報の制約があったためでもあろう▼終戦で気象管制が解除されても、各地の測候所や通信施設の空襲による被害は大きく、多くが機能不全になっていた。9月17日に鹿児島県に上陸した枕崎台風では、犠牲者が3700人を超えたが、現地の測候所から観測データを送信できないありさまだった▼その苦闘を、柳田邦男氏はノンフィクション「空白の天気図」で描いている。この中で、広島県で2000人以上が犠牲になった理由を問い、原爆に続く戦争悲劇となった自然災害に、立ち向かう人々を見ている▼今、気象情報は世界中から集まるが、内戦の地は空白という。きょうは平和がもたらす台風情報と心得て耳を傾けたい。