「ぞうさん」や「しゃぼん玉」。子どものころ繰り返し歌った童謡はいくつになっても口ずさむことができる。国語の授業で宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を音読した経験も記憶に残る▼そうして覚えたフレーズが、人生の支えになることもある。「いろんな場面で、詩の一節が口をついて出てくる。それは一生の財産」。全国学校図書館協議会顧問の笠原良郎さんは「黙読」ではなく「音読」を勧める▼声に出して読み自らの耳で聞くことで、脳が活発に働き、より理解が深まって印象にも残るという。一度読んだら覚えてしまう楽しい詩に、自然に体が踊り出すこともあるそうだ▼そうした体験を根付かせようと、そらで覚えて詩を歌う「ソラシド運動」の準備が進められている。子どもの詩を書いている詩人や出版社らの協力を得て、年内にも正式に会を発足、新しい読書運動として展開していく▼運動の第一歩として、小学生が声に出して読んで楽しめる「こども詩集 わくわく」(童話屋)が発刊された。谷川俊太郎さんやまど・みちおさん、喜納昌吉さんらの近現代詩52編が収められている▼言葉は生きている。選び抜かれ、リズミカルに紡がれた詩は、どれも力強く脈打っているかのよう。夏休みも後半、心に深く刻まれる一節にぜひ出会ってほしい。