1カ月くらいも前のことである。開催当日、祠(ほこら)の周辺は車が通行止めになるので、「路地の奥の家はご注意を」とのアドバイスを、お隣さんからいただいた▼町内の「大日盆」、一般的には「地蔵盆」といってよかろうが、そのお役を今年は務めておられる。お地蔵さまの縁日である24日前後に、京都、滋賀の各地で行われる地蔵盆。当番の方々の気苦労は並大抵ではない▼車を通行止めにするのは、道の両側の住居が町を形成し、木戸と祠でよそと区切っていた名残とされる。あの世で子どもを守るお地蔵さまの行いにも通じる▼明治の初めに木戸がなくなり、廃仏毀釈(きしゃく)が唱えられるとお地蔵さまは肩身の狭いときを迎えた。戦後の高度成長時やバブル期には、開発の邪魔者のように扱われたこともある▼難しい時代をその都度乗り越え、地蔵盆は受け継がれてきた。それは、子を思う親や地域の心に変わりがなかったからだろう。ただ、さらに少子化が進むと、存在意義を失いかねない。京都市が無形文化遺産に選定したのは、危機感の表れだ▼町内の絆を深めたり、防災力を高めたりする役割を、もっと見直してよい。大人が童心を取り戻す効能は、捨て難い。通行止めになっても、車の出入りできる駐車場を設ける心遣いがある。今年のご盛会を祈りたい。