感染の不安の中、オンラインのコミュニティーカフェでつながり合う関西の性的少数者ら(大阪市内)

感染の不安の中、オンラインのコミュニティーカフェでつながり合う関西の性的少数者ら(大阪市内)

 新型コロナウイルス感染拡大が、性的少数者(LGBTなど)が抱えてきた差別や法の不備の問題をあぶり出している。関西の当事者たちは、感染したら「同性パートナーとの同居やセクシュアリティが公になるのでは」「婚姻関係のないパートナーの安否を教えてもらえるのか」といった不安におびえていた。同性婚の実現や差別禁止法など、法の整備が早急に必要だ。

 同性婚の実現を目指す一般社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」(東京都)は4月に性的少数者らを対象にアンケートを行った。回答のうち最多の約4割を占めたのが「入院や万が一の時、パートナーと連絡をとれるか不安」だった。2人に法的な関係がないため、片方が感染し重篤になっても、個人情報として病院などに教えてもらえない可能性が高い。同居する家の持ち主が亡くなれば遺産相続ができず、退去を迫られる恐れもある。

 問題の根源は、国が同性婚を認めていないことだ。アンケートでも国に求める声で最も多い。先進7カ国(G7)で国として同性カップルを法的に保障する法律がないのは日本だけ。全国約50自治体が設ける同性パートナーシップ制度は、京都市が京滋で初めて9月からの導入を決めた。ただ、いずれも男女の夫婦が得られる権利が保障されないなど課題は多い。

 現在、全国の同性カップルが同性婚を認めないのは法の下の平等などに反すると訴訟を起こしているが、国は「憲法で想定されていない」「婚姻は子を作り育てるためのもの」と反論する。近江八幡市の男性同性愛者「ゲイ」の会社員(32)は「同性カップルに限らず、家族の形は多様化している。時代に合った法整備が、国の役目」と語る。

 アンケートでは感染時、同居の有無などをどこまで公表されるかという不安の声も多い。各自治体は感染症法に基づき、感染者の行動歴などを聞き取って発表した。同法は「個人情報に留意しなければならない」とするが、濃厚接触者との関係性や居住の形態を発表する自治体もあった。

 生まれ持った体と心の性が異なるトランスジェンダーの性を戸籍上と自認のどちらで発表するか、滋賀県の対応は定まらない。京都府と京都市は「性別を非公表にはできるので問題はない」とするが、1人だけ非公表になれば勘ぐられる恐れもある。性的少数者に対する職員の理解向上を通して、安心して話せる環境を整えるべきだ。

 そもそも、なぜセクシュアリティを隠す当事者が多いのか。根強い差別や偏見があるからだ。厚生労働省の調査で「知られれば、職場で不利な扱いを受ける可能性がある」「いじめで会社を辞めたことがある」という声がある。まずは国連が勧告する差別禁止法の制定を急ぐべきだ。

 性的少数者たちは長い間、国に置き去りにされてきた。感染症や災害など、有事の度に見ないふりをされるのは、いつもマイノリティーたちだ。一刻も早く法制度を整えるためには、当事者たちの声が必要だ。だからこそ、どうか思いを聞かせてほしい。