首を長くして待った美術ファンは多いのではないか。

 京都市美術館(左京区)が通称「京都市京セラ美術館」としてリニューアルされ、きのう約3年ぶりに開業した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初の予定から2カ月以上遅れての再出発である。

 「3密」を防ぐため、当分は予約制にして入場制限されるが、大改修を終えた建物も含め、ようやく日の目を見たのは喜ばしい。

 多彩な美術表現と出合える場にし、これまで以上に市民に親しまれる文化拠点にしてもらいたい。

 京都市美術館の開館は1933年。昭和天皇が京都で即位したのを記念し、関西の財界や美術界、市民の寄付で建設された歴史を持つ。国内では東京都美術館に次いで古い公立美術館である。

 リニューアルは館の老朽化を防ぎ、機能向上を図るためで、市民負担を軽減するため、地元企業の京セラと50年間のネーミングライツ(命名権)契約を結び、総工費約100億円の半額を同社が負担した。

 歴史のある館の通称名に企業名が入ることについては反発もあったが、地方財政が厳しい中、文化振興を図る一つの方法として今後も増えていく可能性がある。

 大事なのは、公立の館として収集、保存、展示、さらには教育の使命をどう果たしていくかではないだろうか。

 生まれ変わった美術館の特色の一つは、従来の京都を中心にした近代美術だけでなく、同時代の表現である現代美術にも力を入れている点だ。

 そのために大展示室を備えた「東山キューブ」などを新たに整備し、学芸員も大幅に増員して11人とした。

 これを機に、現代の表現を探る一環として地元の若い才能の発掘にも力を注いではどうだろう。

 京都には美術系大学が多く、若い人がギャラリーなどで発表する機会も多い。それらから優れた表現を選び、館で広く紹介すれば大きな励みになる。

 まちなかでの発表を学芸員が見て回るだけでも、創作者には刺激となり、才能の育成につながるのではないか。

 80年以上にわたって収集された近代以降の京都の日本画や工芸品など豊富なコレクションを常設で見られるようになったことも、京都にやってくる人への大きなアピールになろう。

 新旧が融合する建物の魅力とともに、楽しみな館になった。