大人になっても「夏休みの宿題ができていない」と焦る夢を見る人は結構いるようだ。「夢占い」の定番になっている▼そうした本などによると、困難な仕事や上司との関係などさまざまな抑圧が反映して…と、あまりいいことは書かれていない。もちろん真偽は不明だ。目が覚めるとほっとして、少し懐かしい気持ちになることもある▼今の子どもたちも、いずれそんな夢を見るだろうか。もっとも宿題自体が減っているとの話も耳にする。近年、切実なのは「夏休み明け」問題だ。4年前に内閣府の分析でショッキングな実態が明らかになった▼9月1日をピークに、その前後で子どもの自殺が集中するという。以来、この時期になると、悩みを抱える子への呼びかけが各メディアであふれる。社会にとっては重い宿題だ▼振り返ると、たしかに10代の夏は特別な時間だったが、後で分かることだ。「一人じゃない」と伝えたくても、きれいごとでは届かないかもしれない▼嫌な同級生がいて学校に行くのが憂鬱(ゆううつ)だった中2の夏休み。他県の親戚の元でしばらく過ごすことを親が許してくれた。知らない街で映画を見たり、コンサートに行ったりした。それで何かが変わったというわけではなく、2学期になっても嫌なことは嫌だった。それでも大人になった。