自我に目覚めたコンピューターが、その危険に気付いて停止しようとした人間を敵と認識する。核ミサイルを発射させて世界を核戦争に陥れ、生き残りも「人間狩り」の標的とする▼1984年の米人気映画「ターミネーター」が設定した機械の反乱は、世紀末近くの8月29日だった。70年前のきょう、旧ソ連も原爆実験を始め、破局的な危機の時代に入ったのに重ねたとされる▼世紀をまたぎ、人工知能(AI)の急激な進化が、映画の世界を現実にしつつある。人間を介さず、自ら判断して敵を攻撃する「殺人ロボット兵器」の開発競争が進んでいる▼先行する米国やロシアは、感情的なミスや誤爆が避けられると主張する。それは効率的な人殺しだ。自国兵士は傷つかないからと戦争のハードルを下げかねない。AIの判定や暴走で殺されるのは理不尽極まりない▼先週の国連会議では、AI兵器の使用には人間が責任を持つとする初の指針がまとめられた。規制の第一歩ではあるが、法的拘束力のある禁止条約は見通せずにいる▼昨年に他界した宇宙物理学者ホーキング博士は、AI兵器の登場を「文明史上最悪の出来事になる恐れがある」と警告していた。民生用開発との区別は難しく、兵器利用を国際的世論で縛っていくほかない。手遅れになる前に。