冥界の主である閻魔(えんま)大王は、地獄送りかどうかの裁きに、閻魔帳や浄玻璃(じょうはり)の鏡を用いる。生前の行いが全て記録されており、鏡に映し出される-というところが怖い▼インターネットの閲覧記録を、人工知能(AI)が分析して学生の就職内定辞退率を出す。判定は将来を左右しかねない。AIはネット世界の閻魔大王か▼情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活生に無断で内定辞退率を企業に売っていた問題。個人情報保護法など意に介さぬようであきれる。それ以上に、AIが人を格付けすること自体、何とも気色悪い▼だが、現実をみると進んでいる。ネット上の閲覧や購買履歴、位置情報、年齢や性別などを集め分析して、個人の趣向や行動などを予測する「プロファイリング」や「信用スコア」がビジネスになっている▼中国では収入だけでなく、ネットに投稿したシェア自転車の利用マナーまで分析されて点数化。低い点だと融資を受けられず、お見合いも不利になるという。2020年までに国家の下で社会信用システムをつくる計画だが、さてどんな社会になるのか▼日本でもヤフーが信用スコア事業に参入している。なのにネット利用者は気楽すぎないか。現代の閻魔帳がどう利用されるか、クリック前に考えてみては。