京都府内で制服に女子生徒用のスラックスを用意する高校が増えている。防寒や個人の好みに加え、心と体の性が一致しない性同一性障害の生徒への配慮といった多様なニーズに対応するためだ。一方男子生徒については従来のままで女性を自認する場合でもスカートが制服になく、議論は深まっていない。

日吉ケ丘高の女子生徒用制服のスラックス。スカートと着用を選べる(京都市東山区)

 京都市東山区の日吉ケ丘高は2018年度、制服に女子生徒用スラックスを導入し、スカートと選べるようにした。両方を購入した生徒もいるという。

 冬場にスカートをはくことで足元が冷えて体調に障る恐れや生徒の服装に対する考えの多様化があり、生徒指導部の担当教員は「一般的にパンツスタイルを好む女性が少なくない中、制服にもスラックスを採用するのは自然な流れだった」と話す。

 府内の高校を対象にした京都新聞社の制服アンケートによると、回答のあった中から私服校と男子校を除いた66校のうち、45校がスラックスとスカートをどちらでも着用できる選択制と答えた。特に公立は85%と取り組みが進み、私立は40%だったが、女子校でも導入する高校はあった。

 

 理由については「多様な要望に応えるため」が最も多く、「寒さ対策」や「LGBT(性的マイノリティー)への配慮」という回答が続いた。導入していない高校は「これまで要望がなかった」「事情があれば個別に対応する」などとし、ある高校は「そのような取り組みが増えていることは承知しており、検討している」と答えた。

 選択制が広まった背景について、府教育委員会は「府教委から各校に指導などはしていないが、日頃から人権や男女共同参画の意識を高める取り組みをしており、制服に反映されたのではないか」とする。

 中学校でも同様の動きはある。京都市教委によると制服のある市立中70校(義務教育学校を含む)のうち、56校で選択制を取り入れている。10年ほど前から増えているといい、市教委は「LGBTの生徒への配慮の必要性が報道や文部科学省の通知などで認識されるようになった時期と重なるので、それが後押ししたのかもしれない」と推測する。