川崎市でスクールバスを待っていた児童ら20人が包丁で殺傷された事件から、きょうで1年。切りつけた男はその場で自殺し、動機不明のまま捜査は終了した▼包丁を事前に準備し、現場周辺を下見するなど計画的だった可能性が高い。ただ、男は交友関係がほとんどなく、警察が400人近い関係者に事情聴取しても、犯行理由をうかがわせる事実は確認できなかったという▼無差別に大勢の人を殺傷する事件が遺族らを苦しめるのは、肉親を亡くした悲しみだけではなかろう。なぜ命を奪われなければならなかったか、理由が分からないことが少なくないためだ。これでは心の整理がつかないのも無理はない▼きのう、京都アニメーション第1スタジオへの放火殺人などの疑いで逮捕された青葉真司容疑者の動機は何か。任意聴取で「小説を盗まれたから」と語ったとされるが、結果の重大さに照らして理解しにくい。真実を語るべきだ▼ガソリン入り携行缶や刃物を用意するなど、強い計画性がうかがえる。交友関係が狭く、世間から孤立気味に生活していたようすも浮かび上がっている▼川崎市の事例とひとくくりにできないが、身勝手な犯行の一因に社会からの疎外感があるとすれば、今の世の在り方も問われることになる。動機解明が持つ意味は重い。