北朝鮮がまたもや新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を日本海へ発射した。

 弾道ミサイルは長射程化され、日本に届く恐れもある。発射を禁じた国連安全保障理事会決議に違反し、平和と安全を脅かす暴挙というほかない。

 北朝鮮の東海岸沖から2日朝、弾道ミサイルが発射され、約450キロ飛行した。事前通告もなく、日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾した。船舶などに被害はなかったものの、危険極まりなく決して許されない。

 北朝鮮の朝鮮中央通信はSLBM「北極星3」の発射実験を行ったと報じた。実際の射程は2千キロ近いと目され、通常より高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」を使ったという。

 SLBMは地上配置型と比べ、事前探知と迎撃が難しいとされる。2016年8月以来3年ぶりのSLBM発射により、日米韓の安全保障上の脅威が新たに顕在化したと受け止めねばなるまい。

 北朝鮮は非核化などを巡り、米国と5日に実務協議を行うと発表したばかりだ。協議再開前に、なぜ挑発行動に踏み切ったのか。

 交渉を優位に進めるためのけん制だろうが、非核化交渉の継続を優先するトランプ米政権が発射を容認してきた短距離ミサイルの枠を踏み越えるものだ。ミサイル戦力の増強を固守する姿勢を鮮明にしたものともいえよう。

 トランプ氏は昨年6月以降、北朝鮮と首脳会談を重ね、「外交成果」と誇示するが、非核化に進展はない。この間、北朝鮮は弾道ミサイルなどの実験を繰り返し、技術向上を図ってきた。大統領選に向けて成果を焦るトランプ氏の足元をみているのではないか。

 安倍晋三首相は「国連決議違反であり、厳重に抗議し、強く非難する」と語った。当然だ。ただ安倍政権は米国の顔色をうかがい、「わが国の安全保障に直ちに影響を与える事態ではない」と手をこまねいてきたのも否めない。

 加えて歴史問題に端を発した日韓対立の激化に伴い、韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄を決めるなど、安全保障分野での日米韓連携が大きく揺らいでいる。日韓関係の改善は急務であろう。

 国連決議を無視し、ミサイル発射を重ねる北朝鮮の姿勢は一貫している。日米韓は東アジアの安全保障にとって脅威が高まっているとの認識を国際社会と共有し、北朝鮮の危険な振る舞いに強い姿勢を示す必要がある。