厨房に立ち、閉店を惜しむ客でにぎわう店を切り盛りする城崎さん(右)=京都市下京区・ふくい

厨房に立ち、閉店を惜しむ客でにぎわう店を切り盛りする城崎さん(右)=京都市下京区・ふくい

閉店を惜しむ客でにぎわう「ふくい」(京都市下京区)

閉店を惜しむ客でにぎわう「ふくい」(京都市下京区)

キャベツをふんだんに使ってつくる焼きそば

キャベツをふんだんに使ってつくる焼きそば

 京都市下京区の五条壬生川で半世紀以上にわたり地域で親しまれてきたお好み焼き店が31日で閉店する。店主が高齢で後継者がいないことに加え、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少していて、「体力的に厳しく、先が見通せない」と決断した。

 1963年開業のお好み焼き店「ふくい」。店主の城崎以知子さん(80)は、母の故福井千代さんが始めた店を引き継いで以来30年以上、切り盛りしてきた。
 女手一つで城崎さんら5人の子供を育てていた千代さんが始めたタバコと菓子の店でコーヒーやぜんざいなどを扱うようになり、近くのタクシー会社の運転手向けに夜に食事を提供するようになった。幹線道路沿いで長距離トラックのドライバーの利用も多く、一時は午前4時まで店を開けていた。
 店の北側には寺が集まる地域があり、かつては寺に下宿する学生も多く訪れた。「母は学生さんには肉や野菜を多めにしたり、ぜんざいをつくって持っていったりしていた」と懐かしむ。最近は、その頃の客が子供を連れて来店することもあるという。
 お好み焼きも焼きそばも、特徴は大盛りのキャベツ。城崎さんは「母が大まかな性格だったから」と笑うが、キャベツの値段が上がっても量は変えず、今も開店前から大量のキャベツを千切りにしている。ラードや魚介など、他の材料も質にこだわり味を守ってきた。
 新型コロナウイルス感染拡大で4月は営業時間を短縮し、5月は12日まで休業したため、両月は売り上げが半減した。「先が見えれば頑張れるが、今の状況では難しく、体力的にも厳しい」と城崎さん。最近は別れを惜しむ常連客らで連日にぎわう。「閉店を決めてからは反響が大きく、店は生活の中心だったのでさみしさが身にしみている」と話す。