感染を防ぐガウンなどを着用し、患者のケアに当たる看護師(5月20日、京都市上京区・京都府立医科大付属病院)

感染を防ぐガウンなどを着用し、患者のケアに当たる看護師(5月20日、京都市上京区・京都府立医科大付属病院)

 新型コロナウイルスの感染者の増加は鈍化傾向を見せているが、第2波を確実視する声もあり医療機関は警戒を続けている。京都市上京区の京都府立医科大付属病院は感染症指定医療機関として、重症感染者らの治療に当たる最前線の一角を担ってきた。同病院で重症感染者が入院する病棟に記者が入り、現場を取材した。

 「調子はどうですか」。ガウンやマスクを身に着けた看護師の患者に掛ける声が、マイク越しに隣室の記者に聞こえる。緊急事態宣言下の20日、同病院の新型コロナウイルスの重症者専用病棟。患者の病室に入る時には感染防御の装備が必要となる。入室した看護師が患者へ薬剤を投与したり体を拭いたりする間、隣室では別のスタッフが待機し脈拍などのモニターを見つめている。一度入室すると、1時間はかかるという。

 重症患者を治療する病棟では現在、医師約10人と看護師約20人が交代で勤務に当たる。本来は結核病棟だったが、長い間使われてこなかった。感染症科や集中治療室、救急部門からスタッフを集め、3月1日から新型コロナウイルスの専門病棟として稼働している。経験豊かなスタッフがチームに参加しているが、感染防御が必要なウイルスならではのケアの難しさもある。

■「苦しそうでもすぐに行けない」

 「患者さんが苦しそうにしていても、すぐにそばへ行けない」。4月から同病棟で働く女性看護師(43)は漏らす。患者のそばに行くまでに感染防御用のガウンを着用する必要がある。3分あれば部屋に入れるが「患者さんの苦痛が長くなってしまうのがもどかしい」という。

 これまでも人工呼吸器の装着者ら重症者へのケアの経験は多く積んできた。同病棟での勤務に不安はないが、ある入院患者から「うつるといけないから、あまり私に近づかないで」と言われたことが記憶に残っている。「一番しんどいのは患者さんなのに」。新型コロナウイルスが患者に「負い目」を感じさせていると知った。「患者さんが負い目を覚えることはあってはならない。気兼ねなく、治療に専念できるよう心を配りたい」と語る。

 緊急事態宣言が発出されて以降、患者数の増加は落ち着いてきた。しかし4月下旬までは、患者数の増加は懸念を抱かせる状況だった。松尾友子師長は「毎日の感染者数を見てはらはらしていた。5月中旬になりゼロが続くようになって安心できた」と明かす。日々の感染者数は直接、病棟の状況に反映する。「府民の方々の行動制限の効果は肌で感じている」と話した。