日本経済の踏ん張りどころといえよう。

 日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、6月から2ポイント下落のプラス5となった。3四半期連続の悪化で、6年3カ月ぶりの低水準だ。

 米中貿易摩擦が影を落とし、輸出などが鈍っていることが企業心理を冷え込ませている。これまで製造業の落ち込みを、比較的堅調な内需に支えられた非製造業がカバーしてきたが、10月からの消費税増税が景気の重しとしてのしかかる。

 先行き不透明感が強まる中、いかに生産、消費の両面で経済の足腰を強くしていくかが重要だ。

 9月の短観では、海外経済の減速傾向から生産用機械、非鉄金属など幅広い製造業種で景況感が悪化。電気機械は増税前の駆け込み需要で改善したが、主要産業とする京都、滋賀では中国を中心に設備需要減少が響いて後退した。

 米中摩擦の影響は長引くとみられ、世界貿易機関(WTO)は今月、2019年の世界貿易量予測を前年比2・6%増から同1・2%増に大きく引き下げている。

 外需の低迷に企業は設備投資を慎重化させているが、その先まで見据えた競争力強化策が求められよう。人手不足に対応する省力化投資やサプライチェーン(部品の調達・供給網)の効率化、AI(人工知能)活用など成長分野にも目を向けたい。

 目下の最大テーマは、消費増税による景気の腰折れを防げるかどうかだ。政府はポイント還元制度をはじめ大型対策を並べ、反動減につながる駆け込み需要は限定的にとどまったようだ。

 ただ、店側の対応が分かれるなどして効果が偏る懸念がある。政府は追加対策にも前のめりだが、幅広い下支え効果があるか見極めが要る。着実な賃上げなども消費に厚みを持たせる上で重要だ。

 景気悪化への「予防的」措置として、米国の連邦準備制度理事会は7、9月に連続で政策金利を引き下げた。欧州中央銀行も3年半ぶりの利下げに踏み切り、日銀の対応が注目されている。

 黒田東彦総裁は先月、海外経済の下振れリスクが高まっているとして、より追加緩和に前向き姿勢を示した。大規模緩和を続ける日銀に追加余地は限られる。国内景気や各国利下げによる円高の動きに細心の注意を払いつつ、銀行の収益悪化など副作用も考慮に入れた冷静な判断が求められよう。