京都市右京区長にマスクを手渡す中野美舞さん(右京区役所提供)

京都市右京区長にマスクを手渡す中野美舞さん(右京区役所提供)

中野さんが主人公を演じた映像作品「こころの花」のワンシーン

中野さんが主人公を演じた映像作品「こころの花」のワンシーン

 京都市右京区の京都光華中1年、中野美舞(みふみ)さん(12)=中京区在住=が、聴覚障害者の新型コロナウイルス感染予防のため、マスク2千枚を右京区役所に寄贈した。聴覚障害をテーマにした映像作品で主人公を演じたことがきっかけとなり、「撮影でお世話になった方たちに恩返しをしたい」と、行動に移した。

 右京区役所は2013年から映像作品で人権意識の向上を図る事業「右京はーとふるシアター」を始め、上映会などで放映してきた。今年4月からは7回目の作品「こころの花」が公開され、耳が聞こえない少女と出会った主人公が、少しずつ手話を覚えながら、差別や偏見に立ち向かい、少女との友情を育む内容となっている。

 中野さんは聴覚障害者から手話の指導を受けるなど、撮影を通して交流を深めてきた。4月ごろ、「耳の聞こえない人たちは情報を得るのが大変。マスクもなくて困っているんじゃないか」と心配し、不動産会社を経営する父親(47)に相談。取引先からマスクを確保できることになり、お小遣いを全て使って2千枚購入した。

 マスクは区を通じて、区内の府立聾(ろう)学校や全国手話研修センターに配布される。中野さんに手話を指導した市聴覚障害者協会の中山昌一代表(67)は「素直に話を聞いてくれて、手話もしっかり覚えてくれた。配りきれないほどマスクをもらって本当にありがたい」と感謝した。

 中野さんは「少しでも困っている人に届けばうれしい」と話し、「撮影で初めて手話に触れて、こんな世界があるんだと驚いた。作品で手話や障害のことを知ってもらえたらうれしい」と呼び掛ける。「こころの花」は動画投稿サイト「ユーチューブ」で見られるほか、市右京中央図書館などでDVDを貸し出ている。