絶滅危惧種のマウンテンゴリラ。人が近づきすぎると互いに感染症にかかるリスクが高まるため、適切な距離を取る必要がある(大塚亮真さん提供)

絶滅危惧種のマウンテンゴリラ。人が近づきすぎると互いに感染症にかかるリスクが高まるため、適切な距離を取る必要がある(大塚亮真さん提供)

 東アフリカに生息する絶滅危惧種のマウンテンゴリラとも適度な「ディスタンス」(距離)を―。ゴリラに関するインターネット上の動画を京都大のグループが分析したところ、人とゴリラが近づくほど視聴者の賛意を表す「いいね」を多く集めることが分かった。人とゴリラが近接するとウイルスなどの感染リスクが高まり、種の保存の上では問題。研究者は「動画を撮る人も見る人も、ゴリラと近づく行為の負の影響について考えてほしい」と訴えている。

 近年環境保全を目的として自然に親しむ「エコツーリズム」が普及し、研究者でない人でも野生のゴリラに近づく機会が増え、人に慣れたゴリラが近寄ってくることもある。インフルエンザやエボラ出血熱など感染症のリスクがあるため両者の距離は7メートル以上に保つべきとされているが、観光客の中には守らないケースが散見されるという。

 京大アジア・アフリカ地域研究研究科の山越言教授と大学院生の大塚亮真さんは2019年4月、動画投稿サイト「ユーチューブ」でゴリラ観光に関する映像をキーワード検索。確認できた282本で人とゴリラの距離を分析し、両者が「接している」「どちらかの手が届く範囲」ほど視聴回数や「いいね」が多かった。

 大塚さんは「ネット上の動画と同じようにゴリラに近づきたい」という観光客もいるとした上で「視聴者の反応も動画を投稿する観光客に影響を与えている可能性もある」と指摘。さらに「コロナ禍では感染防止のため『ソーシャル・ディスタンス』が求められる。感染症を防ぐためにゴリラとの『距離感』も大事にしてほしい」としている。

 成果はこのほど、国際学術誌「プロス・ワン」に掲載された。