日吉ケ丘高の女子生徒用制服のスラックス。スカートと着用を選べる(京都市東山区)

日吉ケ丘高の女子生徒用制服のスラックス。スカートと着用を選べる(京都市東山区)

 京都府内で制服に女子生徒用のスラックスを用意する高校が増えている。防寒や個人の好みに加え、心と体の性が一致しない性同一性障害の生徒への配慮といった多様なニーズに対応するためだ。一方男子生徒については従来のままで女性を自認する場合でもスカートが制服になく、多様な性が認知されつつある社会で、スカートを通して男女で作り分けられた制服の在り方が問われている。

 府内の高校を対象にした京都新聞社の制服アンケートによると、回答のあった中から私服校と男子校を除いた66校のうち、45校がスラックスとスカートをどちらでも着用できる選択制と答えた。特に公立は85%と取り組みが進み、私立は40%だったが、女子校でも導入する高校はあった。

 文部科学省は2015年、性同一性障害の児童生徒に対し、自認する性に応じた制服の着用を認めるよう教育委員会などに求める通知を出した。京都府内では制服を採用する高校が増えており、通知を受けて女子生徒用スラックスを用意した学校もある。

 一方、府や京都市の教育委員会によると、戸籍上男性の生徒からスカートを着用したいと申し出があった事例は把握していないという。

 ある高校教員は「男子生徒は女子生徒に比べ、自身の性について教員に明かさない傾向にある」と分析。「今夏に開かれた複数都市の生徒指導部担当教員が集まる交流会で、男子生徒がスカートを希望した場合の対応について議論した。社会の意識の変化とともに希望する生徒が出てくる可能性はあるので、本人への精神的なフォローや他の生徒への説明も含めてどのように対応すべきか、学校全体で議論を進めなければならない」と話す。

 性的マイノリティーと教育の問題に詳しい鳴門教育大の葛西真記子教授(臨床心理学)は「女子を自認する戸籍上男子の生徒は髪の伸ばし方やトイレの問題もある。望む制服を用意すればよいという話ではなく、そもそも制服が必要なのかという議論も必要だ」と指摘。教員の意識の重要性を挙げ「先生自身が性的マイノリティーに偏見を持っている場合、無意識に当事者の生徒を傷つける言動をしている恐れがあり、生徒は本当の自分を出せずに苦しむ。性は多様という前提に立てば、どのように生徒と接し対応すべきかが見えてくるはずだ」と話す。