新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために続いていた施設などへの休業要請が、6月1日から京都府でも全面解除される。

 滋賀県は今月15日から要請を解除している。京都とともに緊急事態宣言が21日まで続いた大阪、兵庫両府県も全面解除を決めており、近畿各府県が足並みをそろえて経済活動の再開へ踏み出す。

 ただ、新型コロナ感染症は収束していない。流行の第2波に備えた対策は不可欠で、今後、感染が広がれば休業を再要請することもありうる。

 ウイルスへの警戒を怠ることなく、いかにして日常の生活や経済活動を取り戻していくのか。コロナとの共存を前提にした社会への変革が求められている。

 京都府は緊急事態宣言が全国で解除されたのを受け、社会経済活動の再開に向けた方針を公表した。移動の自粛を段階的に緩和するほか、コンサートや展示会などのイベントは参加できる人数を徐々に増やしていくことを認めた。

 政府の指針に沿って休業要請の解除に向けた独自指針「感染拡大予防ガイドライン」も作成した。集団感染の発生例があるライブハウスについては、ステージと客席の間に十分な間隔を取るほか、客と客の間隔を2メートル以上確保することなどを求めている。

 こうした対策は感染防止と経済活動を両立させる上で重要だが、イベントや施設の実態にそぐわない面が出てくることも想定されよう。事業者からも意見を聞き、有効な「3密」防止策があれば対策に取り入れるなど、情報収集や支援に柔軟に努めてほしい。

 施設や市中で感染が再び広がった場合の対応策についても示しておく必要がある。

 北九州市では、緊急事態宣言の解除後に新規感染者数が再び増え、市の施設を再休館する事態となっている。

 京都府は隣接府県などの感染状況を見ながら「総合的に判断し、段階的に(休業の)協力を要請する」とするが、基準は曖昧だ。

 新型コロナ特措法は首相が緊急事態を宣言し、知事が休業を求めるとしている。

 だが、政府は第2波が来た場合にどのような基準で緊急事態宣言を再発令するのかを明確に打ち出せていない。

 国の基準がないままでは、自治体は独自の判断も難しい。政府は遅れているPCR検査の拡大などに努め、感染動向を客観的に捉える仕組みづくりを急ぐべきだ。