「東村山音頭」をリモート演奏する京都フィルハーモニー室内合奏団(京フィル提供)

「東村山音頭」をリモート演奏する京都フィルハーモニー室内合奏団(京フィル提供)

 京都フィルハーモニー室内合奏団(京フィル)は、タレント・志村けんさんの人気曲「東村山音頭」を団員が「リモート演奏」した動画をネットで公開している。新型コロナウイルス感染拡大では発表の場が失われる中、ファンに直接音楽を届ける取り組みで、新型コロナで亡くなった志村さんへの追悼の思いを込めた。

 ♪東村山 庭先(さ)きゃ多摩湖-。おなじみのメロディーはそのままに、陽気なコミックソングは、オーケストラの演奏で叙情豊かに印象を変え、女性ボーカルのしっとりした歌声が重なる。画面に映る総勢24人の演奏者はみな黒の衣装で、志村さんへの弔意を示した。バイオリンの森本真裕美さんは「追悼曲にお笑いの雰囲気が残るのでは、と心配したが、とても美しい曲に仕上がった」と話す。
 京フィルは、新型コロナの影響で2月末以降、25公演のコンサートが中止、延期に追い込まれた。公共施設が閉じられ、練習場さえ確保できない中、ファンに音楽を届ける方法を模索。団員たちをオンラインで結んで、それぞれの演奏を収録し、作品にまとめて発信することにした。
 そんななか、3月30日に志村さんの訃報が伝わった。幅広い年代に愛されたコメディアンだけに、ショックを受けた京フィルメンバーも多く、「感謝の思いを演奏で伝えられないか」(田中美幸理事長)と「東村山音頭」の演奏を決めた。
 京フィルと長年仕事を続けるミュージシャンの栗本修さん=東京都=が編曲を担当。収録には団員をはじめ、OBや仲間の演奏家たちが参加。スマホ、パソコンのビデオ会議アプリを使い、自宅などから1人ずつ演奏の音声と映像を収録した。演奏者以外のメンバーもその様子を見守り、議論を重ね、よりよい演奏を目指した。
 5月10日から動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開を始め、再生回数は4万8千回を超えた。閲覧した人からは「ありがとう」「志村さんを思って涙が出た」などのコメントが寄せられている。
 京フィルは今後、一般の音楽愛好家からもオンラインで演奏動画を募り、より規模の大きな合奏動画に成長させる計画を進める。田中理事長は「『1万人の東村山音頭』を目指したい」と話す。動画の閲覧、応募は「リモートハーモニープロジェクト」のホームページへ。