久しぶりに職場や学校へ出向いた人も多かったのだろう。長い在宅の間に夏の衣替えの時季と重なり、街全体がパッと白くなったように見えた▼往来の店々も動きだした。京都を含め近畿各府県の休業要請が全面解除された。商業やレジャー、文化施設が順次再開しているが、元の風景とは違う▼「3密」を避ける業種別指針に沿う対策が求められている。飲食席は横並び、結婚式場では大声の余興を控え、図書館で一度触れた本は回収-など違和感はあるが、「やり過ぎ」とも言い切れないのがコロナ禍である▼悩み深いのは、集団感染の発生例が出たライブハウスや接客を伴うバーなどだろう。府の指針で、客同士の間隔を2メートル以上空け、握手など身体的接触は禁止とされた▼京都の五花街は、お茶屋の営業再開に向け、芸舞妓は客と1~2メートル離れ、醍醐味(だいごみ)のお座敷遊びもしないと打ち出した。「お一つどうぞ」のお酌の会話も慎むとは、半年前なら座興の話だったろうが、当事者は大まじめだ▼本来の楽しみ方や風情が失われ、採算や業態が成り立たなくなる不安もある。それでも客の安心がなければ、街の灯を守り継げないという思いからではないか。「今できる最大限のことから始めたい」とした太田紀美京都花街組合連合会長の心意気を受け止めたい。